《番犬女》は俺のもの
第16章 新婚生活 開始!?
母は疲れた様子で片手を壁につきながら、玄関で靴を脱ぎ捨てる。
「今日のセールはすごかったのよぉ。お肉もちゃんと買えたわ」
重たい買い物袋をさしだし
ふと足元を見た母は、玄関に並んだひときわ大きな靴を見つけた。
「…あら」
そして顔をあげる。
「あらら?」
リビングには娘と向かい合って立つ見知らぬ青年がいたのだ。
「──もしかして未来のだん…」
「 ち…違うぞ母さん!」
反射的に叫んだ母の言葉を茜が遮った。
娘に否定されてきょとんとしたあと、挨拶もしない零とじっと目線を合わせたまま彼女は廊下を進んでリビングに来た。
買い物袋を茜が受けとる。
その間も、母の注目は目の前の青年に。