《番犬女》は俺のもの
第17章 ライバルな転校生
ほら、というように零がさしだしたのはいつもの重箱弁当。
ただし中身は生野菜とささみ肉ではない。
「中身は学校でのお楽しみー」
「……っ」
朝っぱらからこんなんで
“ 私がもたないな…!! ”
何年も変化なく続いてきた茜家の朝が、この変わり者のせいで一変していく。
逃げるように部屋に戻って学校の支度をすませた茜は、母と零を二人きりで残すわけにもいかないので、零の支度を待って登校した。
もちろん、家を出た彼女はさっさと零をおいて走って行ってしまったのだが。