《番犬女》は俺のもの
第18章 おちゃらけプリンスの正体
デッサンは単なるスケッチとは異なり、影や質感を表現するために何度も何度も直しを加えていた。
二時間にわたる美術の授業──
すぐにその半分が過ぎて休憩時間になった。
「HEY!アカネ!」
面倒臭いのがすかさずやってくる。
「見てよ、僕はキミを描いたんだ」
「…ハァ」
皆は隣の生徒をモデルにしているのに…空気読めよ転校生め。
「それにしても…アカネは表情がずっと変わらないよね、最高のモデルだよ」
「悪かったな無表情で」
不機嫌全開の茜の言葉を聞いても、ハルクはなんら気にしていない。
自らの作品を嬉しそうに見せてきた。
「なかなか上手く描けただろ?」
「──…(イラ)」
「…わ、わぁ!…凄い上手~」
「お前 画家になる気かよ、ハハッ」
ジャジャーン と披露されたデッサン
反応したのは茜以外の生徒だった。
二人の間を取り持つクラスメイトの顔は引きつっている(汗)