《番犬女》は俺のもの
第18章 おちゃらけプリンスの正体
「誰だっけ」
「うそっ…忘れるの早くない !? 」
「…冗談、覚えてるよ転校生クン」
ガラッとドアを全開まで開けたかと思えば、勢いよく閉めてハルクが保健室に入ってきた。
「その《転校生クン》って呼び方はどうかと思うよ?聞いた話によればキミも同じなんだろう」
「……」
「何処から転校してきたのかは、知らないけどね」
「──TOP SECRET 、だからさ」
ネイティブ風な発音で返しながら
零は笑みを浮かべる。
「ハハッ、茶化すつもりかい?」
「…まさか、ただ君に話す必要なんてないってことだよ。嫌いだから」
零が顔に貼りつけたその微笑みは、この境界を越えてくるなという警告をこめたものにすぎなかった。