《番犬女》は俺のもの
第3章 天敵現る
茜が廊下に出ると、そこには変わらず零が立っている。
「…人気者だね、花崎サンは」
「お前に言われなくてもわかっている」
「また《お前》、か」
「……」
「ねぇ、篠田くん!! 」
「…?」
その時、教室から零を呼んで現れた女生徒たち。
彼女たちはポケットに手を入れた零の腕をガッシリと掴んでいた。
「おまたせ、さぁ、行きましょうっ」
「…………本当に行くの?」
「うん、篠田くんの歓迎会するってみんなも楽しみにしてるのよ」
四、五人の1組の女生徒は、零を取り囲んできらきらとした目で見上げている。