《番犬女》は俺のもの
第3章 天敵現る
「……!!」
「あ」
その日の放課後のこと
梗子に会いにきた茜は、1組の教室の前で、例の男と遭遇する。
「…なに、また俺に用事?」
「違う」
なんだか気まずい空気が流れるなかで、零の言葉を茜はそっこうで否定した。
そして教室の様子を確認して、担任と話をする梗子の姿を見つけた。
「…あっ、花崎さん、あそこで久藤さんが待ってるわよ」
「──え? 本当だわ、ありがとう」
梗子は友人に茜が来たことを知らされて、担任に挨拶するとドアの方へゆったりと向かう。
「どうかした?茜ちゃん」
「今日は生徒会の仕事は…?」
「やることは昨日のうちに終わらせたからもうないの!すぐに帰れるのよ」
「そうか」
「茜ちゃんも一緒に帰りましょう♪」
梗子は自分を取り囲む友人たちに目を向けながら、茜も共に帰ろうと笑顔で誘った。
けれど、茜はそれを断った。
「…いや、それならいいんだ」
「……? 」
彼女はそれで用がすんだようで、1組の教室を出ていったのだった。