《番犬女》は俺のもの
第19章 警戒
ドアの向こうにいたのはもちろんこの男だ。
「なんだよ危ないな…っ」
「……」
「──!?」
さらに強く引かれる。
零はいったん彼女を抱き留めてから、素早くドアを閉めて鍵もかけた。
茜の両肩は、閉まったドアに押し付けられた。
「おかえり茜さん、今日は何処に行ってたのかな」
「…は? 私は何処にも行っていない」
「ウソ、だね」
零は顔を近づけて詰め寄る。
放課後に彼女の教室に行っても見あたらず、もう帰ったと他の生徒が言うので茜の家に着てみたら…
「…遅すぎだよ」
寄り道してきたとしか思えないよ。
「面倒臭い奴だな…!」
なるほど零の言いたいところは察しがついた。だがそれほどのことか?こんなに…苛つくほどのことなのかよ。
これは篠田のいつものおふざけではない
それも何となく察しがついた。