《番犬女》は俺のもの
第19章 警戒
茜はアパートの階段の下で、再度周りを確認してから登り始めた。
この時間はまだ母は帰っていない筈だ。
なのに…
「…篠田か」
玄関で鍵を回してから気がつく。鍵を開けた手ごたえがない。
誰かが既に家に入っているようだ。(この場合は侵入と言うべきなのだが)
茜はドアを開けると同時に声を尖らせた。
「いい加減にしろ、せめて家に入るのは私が居るときぐらいに…ッ…──!」
‥‥っと!?
グィッ....
自分が引くより速くドアが押される。
あまりの勢いに後ろに飛ばされる直前、中から伸びてきた手が彼女の腕を掴んで引き戻していた。