《番犬女》は俺のもの
第19章 警戒
「俺を重度のネコ好き設定にしたのはどこの誰? 」
「…よくわからんところで根に持つな」
ゾクリと身の危険を感じた。
ここは逃げておいた方がいい。
自分の脚の間に篠田の脚をいれられているが…手の自由はまだあるからな。
一発みぞおちあたりを殴って──
「…まぁいいや、帰りが遅くなった理由、とりあえず教えて?」
「…理由…、ただ転校生のバカ野郎から」
「──…!!」
《転校生のバカ野郎から逃げていた》
そう返しながら、茜の拳が握られた。
しかしその時
零はドアに押し付けていた茜の身体を強く抱き寄せてしまう──
「転校生クン、が…何したって? 」
「…く…!?」
この状態では、本当に身動きがとれない。
“ 不味い…っ ”
零がいったい何に過剰反応したのかわからないが、機嫌を損ねているのは確かだった。