《番犬女》は俺のもの
第19章 警戒
篠田は何に怒っている?
──もしや
「……お前、あいつが気にくわないのか?」
「うん、大嫌い」
「…っ、珍しいな、お前がそんなはっきりと」
零の交友関係がどうなっているのか
…正直考えたこともないけれど
こうやって特定の人間を嫌いだと断言するのを初めて聞いた。
はっきり言って、茜からしたら零もハルクも極めて似た部類の男に入るのだが(汗)
(最大の共通点 = 扱いづらい)
“ そうくれば… ”
ピピピ... 作戦変更
「き、奇遇だな。私もあの男は苦手なんだ」
「……」
この態勢を覆すまでは刺激は禁物。
手足の動きを封じられたいま、軽く機嫌を戻しておくしか──
「ふ~ん」
疑うような目で零は焦る彼女を見ていた。
格下クンの登場が不愉快ではあるけれど、自分の腕の中で僅かだが取り乱す彼女が…
普段にない感じでまんざらでもなかった。