《番犬女》は俺のもの
第19章 警戒
ハルクの弱点はある意味の強みだった。
さらに……
彼の魅力は、体育の授業で発揮される──。
『あ、ハルク君が走る!』
『どこどこ!? 』
ハードル走の時間、ざわめく女子たち。
『はやーい!』
『ねぇ、ねぇ、脚長くない!? 』
『豹?チーター?そんな感じ♡』
その場で一緒にぴょんぴょん跳ねて
思わず手を叩く。
彼女たちを射止めたのは教室とグラウンドでの彼のギャップであった。
苦手科目 数学&歴史
得意科目 体育&美術
おまけに明るい性格の留学生は、このギャップをもってして凰鳴にすんなりと馴染んでいった。
零や茜、梗子ほどのカリスマ性はそこにはないかもしれないが、新たな学校の人気者ができたというわけ。
ハルクの事を警戒し始めた茜だったが…
相変わらずしつこく絡んでくる以外、特に梗子への害を感じる男ではなかった。
───
だがそこにある日
ひとつの、小さな変化が