《番犬女》は俺のもの
第19章 警戒
初めに飛び込んできたのは
英語の200 という点数。
「……」
茜は無言でパラパラと確認した。
確かに…採点間違いは無さそうだ。
(英語)200
(数学Ⅱ)96
(数学B)92
(化学)100
(物理)100
(日本史)20
(国語)61
──負けている
茜はその受けた衝撃を表情に出さないように苦労した。
総合点では彼女が勝っていたとしても、理系科目ではハルクに負けているのだ。
しかし茜が固まっているのは敗北感からではない。
今回の期末試験でハルクが証明した、その、のびしろが信じられないからだ。
凰鳴高校はそこそこの進学校である。200人以上の生徒の中の、トップ20に入り込んでくるとは。
…この短期間で。
「──…何者だ、お前」
そんな言葉が自然と出てきた。
「……、ちょっとした天才?」
おどけたハルクは静かに笑う。
「それにしても数学は教科書に載っていない問題まで出されるんだね、すごく焦ったよ」
「……」
「次はちゃんと勉強するね、あと…日本史はさっぱりだから今度教えてねアカネ!」
「…わかった」
「♪」
茜の返事を聞いてハルクは満足げに教室に帰っていく。