テキストサイズ

《番犬女》は俺のもの

第19章 警戒


「ふふん」

いじめっ子篠田の悪口を受けても、ハルクはなんらダメージを受けていない。

「" おバカ " なりに頑張ったさ!」

そして茜に差し出したのは、彼女から借りていた過去の教科書たちだ。


「こんなに面白くない読書は久しぶりだったよ」

「全部…読んだのか?」


茜は教科書を受け取る。

質問してくるハルクが鬱陶しかったので適当に教科書を押し付けていたのだが、まさか本当に勉強してくるとは思ってもいなかった。




──そして茜は見つけた。



「……!!」



掲示板の順位表に
明らかに周囲から浮いた横文字の名前が。





《《 11位 ── ハルク・ウィルアーニ










「まさか」


「ほんとだよ、ほんと」



パタパタと尻尾をふりながら誉めてもらうのを待っているそいつは

クラスでも指折りの悪成績だった筈だ。





“ 11位…!? ”





「…ああ わかったぞ採点ミスだな。あとで私から担任に伝えといてやるよ」

「ナイスジョークだね!アカネ」

「ジョークではない、…それは答案用紙か?」

「そうだよ、見るかい?」



ハルクは手に持っていた返却済みの答案を得意気に茜に差し出したのだった。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ