《番犬女》は俺のもの
第24章 クリスマスを君と…
彼の信じられない行動に鳥肌が立つ。
「いやだ…ッ 離して!」
「無防備なキミが悪いでしょ?」
梗子の反応を楽しみつつ
余裕な態度のハルクは手首に唇を押し付け直した。
“ この香りは… ”
「──…香水?いや、セッケンの香りか」
「いい加減にして…!」
「…ふりほどけばいいよ」
「──…!!」
未だに梗子は、振りほどこうとその細腕に懸命に力を入れている。
もしこれが茜なら、自由に動く方の手がハルクの顔面にめり込むか、がら空きの脚に蹴りをいれていることだろう。
それができないのは
梗子の淑やかさ故なのか──。
「アカネから言われなかったの?僕は危険だから、注意しないといけないって」
「……っ」
「のこのこ家にあげるなんて愚かだね」
「──…確かに、言われました…!」
『ハルク・ウィルアーニの事だが…、あいつとは距離をおくようにしてくれ。花崎さんに害のある男かもしれない』
ちょうど、期末試験の結果が貼り出されてすぐの頃だ。
梗子は確かに茜から忠告を受けていたのだ。