《番犬女》は俺のもの
第26章 決別
凰鳴高校から少し離れた市街地の、ある喫茶店の前に立つ──ひとりの青年が、周囲の目をさりげなく集めていた。
喫茶店の入口のレンガ階段で、邪魔にならないよう端によって…彼は俯いていた。
グレーのPコートの下に、色気を醸し出すワインレッドのシャツ。黒チェックのズボンは細身で、彼の長い足を引き立てる。
ウール地のキャップを深く被って…俯く
彼は誰かを待っているのだろうか。
「あの人モデルさんかな?」
「そうかもね!握手頼もうかなぁ」
「ちらっと顔見えたけど、すっごくイケメン」
超ミニスカートの女子高生集団が、そんな会話を弾ませながら前を通りすぎていった。