《番犬女》は俺のもの
第26章 決別
今日、ここで会うことになったのは梗子の提案だ。
話したいことがあると、茜に連絡したのが彼女だった。
冬の風は肌に冷たく
二人は立ち話を切り上げて喫茶店に入った。
「わたしね、24日にハルク君とお出掛けしようと思うの」
「…そうか」
「……反対しない?」
「ああ…」
喫茶店に入った二人は、一番奥にある落ち着いた照明の席に通された。そこは誰がどう見ても、カップル専用の席だったが──。
紅茶を注文するだけ先にして、報告をした梗子。
彼女は茜の猛反対を予想していたようだったけれど、それを聞いた茜は頷いただけだった。
「篠田に…言われたんだ。二人のことに首を突っ込むのは野暮だと」
「篠田くんが…?」
「ハルクへの警戒は今も変わらない、けど…」
茜は言葉を止める。
ハルクを…男を警戒するあまり
自分は梗子に窮屈な思いをさせてきたのではないか
彼女はそう考えていた。