《番犬女》は俺のもの
第26章 決別
何年前からだろう…。
梗子と市街地に出掛ける時、茜は完璧に《男》を装うようになったのだった。
それは、梗子を守るため──そのための手段に他ならない。
「…ちぇ、やっぱ彼氏もちか」
「だよなあんなカワイイ子」
今だって、密かに梗子を狙っていた男たちが、茜を見て次々に去っていくのだから。
「──…//」
「どうした……?」
「いや…っ。凄いなぁって思っちゃって…//」
「…?」
“ わたしもいまだに騙されそうになるわ ”
頭ではわかっていても、つい、目を合わせて話すのが恥ずかしくなったり。
……凄いなぁ、茜ちゃんは。