《番犬女》は俺のもの
第28章 ──…逃げるな
三人…いや、四人か
暗くてよく見えないが、顔が赤い。
恐らく酒をいくらか飲んでいる。
「べつに用って用はないな、…なぁ」
「次は二次会にでも行こうかって話してたらさぁ、ハハっ、楽しそうなの見かけたもんで」
「俺らのことは気にしなくていいんだぜ?そのまま続けろよ、見ててやるから」
「……?」
続けるって、何をだ
「腹立つおじさんたちだねー、茜さん」
「…ん、そうだな」
確かに腹がたつが…
「相手にするな、余計に苛々するから…。お前はさっさと服を着ろ」
「うん」
服を着るように零を促して、茜は彼等に近付いた。
「道を開けてくれませんか」
男たちが邪魔で通れない。
「…あ?逃げる気かよ」
「恥ずかしがるなって、いいからヤレよ」
ひとりが、彼女の腕を掴んだ。
「……っ」
“ 不味い…!! ”
軽率だったと、茜が後悔した瞬間
「うわあああ!」
彼女が止める間もなく
その男は手を捻り上げられ、呻いた隙に横に吹っ飛ばされていた。