《番犬女》は俺のもの
第31章 茜の反撃
カリッと外側のチョコレートを噛み割ると
中のガナッシュクリームが舌の上でとろけた。
「不味くはないだろ…毒見済みだ…!」
零が何も言わないので、代わりに茜が喋る。
「そりゃお前の舌は肥えてるし、こんな素人のチョコを美味しいと思うかはわからない」
「……」
「…それでも、手作りを渡したかった」
ひとつ目のトリュフが完全に無くなった時、零はふたの裏についている封筒に気が付いた。
それを開いて確認すると、そこから出てきたのは手紙でなくて写真だった。
「──…」
「こういうイベントに頼るのも馬鹿馬鹿しいが、…いい機会なんだ。言わせて…もらう…っ」
照れ顔を隠して、横を向く茜。
「──…私はお前に告白する。
私と付き合え…じゃなくて、付き合ってくれ」
「……茜さん」
「付き合おう、篠田」
生まれて初めての、告白
……その返事は
間髪いれずにやってきた。
「───…結婚しよう、茜さん」