《番犬女》は俺のもの
第5章 因縁
「…ハデに散らかしたな」
呆れた様子で散乱したゴミを見る。
「気がすんだならさっさと帰れ。後片付けは私がやっといてやるから」
「…なんだよ女」
「可愛げないなぁお前…、…ペッ」
彼女は足元にガムを吐き出された。
「……っ」
「ほらさっさと掃除しろよ。俺が噛んだガムだ、嬉しいだろ?」
「…イラッ」
吐き出した男は笑いながら、茜の肩をつかんで座らせようとする。
「早く拾え…って…… ぇ?」
「自分で拾ってくれ」
茜は逆に男の肩に手を置いて
ぐっと引き寄せ…下に押す。
そのままバランスをくずした男は、彼女の足元にこけて手をついた。