《番犬女》は俺のもの
第5章 因縁
「きゃあーー!茜さん!!!」
「…っ…茜…!?」
「…‥くッッ‥!」
零の代わりに殴られたのは、茜だった。
咄嗟に拳をかわした零は
自分を庇った彼女を見て困惑する。
「…茜ッ…さん、何してるんだ…っ」
勢いで後ろにバランスをくずした彼女を抱き留め、零は顔を覗きこむ。
殴られた彼女の左の頬に
真っ赤な跡がついていた。
「──…いてぇ…」
「…は!? 女が男を庇った…!?」
殴った不良も驚いている。
──ふつう逆だろ!?
「…あ…茜さんっ…大丈夫ですか…!?」
女生徒たちが倒れた彼女の周りに集まり心配する。
「…ああ、大丈夫…」
茜は零に支えられながら、気だるそうに立ち上がった。