《番犬女》は俺のもの
第5章 因縁
その時、痛そうに手首を庇っていた男がハッとして叫んだ。
「…あ! おい! そこのかわいそうな男!」
クルッ
「何か?」
零はすぐに反応した。
「…やっぱりお前だ…!! この前の腹立つ野郎は…」
「間違いない、お前だ」
「やっと見つけたぜ…!」
青崎の不良たちが口々に頷きだした。
ただならぬ雰囲気が彼女たちに伝わる──
「──…ッ?」
「えーっと…、どちら様…?」
「ふざけるな、売られた喧嘩は忘れねぇぜ…俺たちはよ…」
確信をもった不良の男
一歩、前へ出た
「いっぱつ殴ったら思い出すか!?」
「?」
零の顔面にめがけて拳が迫る──
ガツッ!!!
「きゃあーーー!」
女生徒は今度こそ本気の悲鳴をあげた。