《番犬女》は俺のもの
第5章 因縁
……────
「──…こういうわけだ!」
「なるほど」
「…それ、俺が悪いの?」
不良たちの説明が終わった。
小芝居をした二人の男が茜たちに向き直る。
零はいまだに、何故不良たちが怒っているのかがピンとこない。
…というより納得しかねる。
「つまり、篠田は間違えて青崎高校に入り」
「…うん」
「10万を落として帰ってきたというわけか…」
「…脅されたからね」
茜は状況を理解したところで
零の金銭感覚に呆れざるをえない。
「10万をこう…っ、ポイッだぞ、馬鹿にしてるとしか思えねえ…!!」
「…そうだな、そちらの怒りはごもっともだ」
茜はうんうんと頷く。
「私もいま、この男を殴りたい衝動を必死に押さえているところだ」
「──」
「…だが、もとはといえばそっちのカツアゲが原因だろう。その10万を返してから、文句を言うのが筋なんじゃないのか?」
「……っんだと この女…!!」
青崎の男たちが凄んでみせたが
「…私の言い分は間違えているか…?」
茜は全く怯まない。