《番犬女》は俺のもの
第6章 おさめた拳 ( コブシ )
右手に制鞄
左手にごみ袋
「どうせ間に合わないよ。セイトーな理由があるんだし急がなくていいんじゃない?」
零は茜の後ろからゆるーく声をかけた。
不良たちが帰ってきても面倒なので、他の女生徒は警察の付き添いのもと、先に学校へ行かせていた。
残ったのは茜と、サボりのこの男。
ゴミの後始末をしてから遅れて学校に向かう。
「言っておくがな、お前にはセイトーな理由なんてないからな。ただの遅刻だ」
「…不良に絡まれてたから助けに来たのに…」
「助けられた覚えはない」
早足の茜は、彼の不平をばっさりと切り捨てた。