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スーパーボール

第20章 ペンシック*山*トーン

(櫻井side)

「…」
「…」

今、先生と睨み合ってます。

「こんな展開、ダメです」
「俺が描きたいの。」

「先生が描きたくてもダメです。」
「描きたくないもの、俺は絶対に描かないからね」

「それは先生の我が儘でしょう」
「じゃあ、櫻井さんだってそうだ。」

よくある“方針の喧嘩”。
先生とはもう数えきれない。

「違います。俺はデータに基いて…」
「データって何?俺は描きたいものしか描かないって決めてんの!」

そう。
先生は、頑固。

だから、余計に大変。
納得させないと。

「ちわーす」

二宮君が来た。

「あら、いつもの?」

二宮君からしてみたら、
日常的な光景なのかもしれない。

「もー、付き合ってんのにそんな堅苦しくしなくたって──」

「「仕事は仕事!」」

先生と見事に声が被った。

「へいへい、んで?何の話?」
「このシーン!ニノはどう思う?」

先生が例の問題のシーンを、
二宮君に突き出した。

先生はいつもそうなんだ。
最後は二宮君に渡す。

二宮君は、漫画が大好きで先生の作品は先生よりもよく分かってる。

「小佐野先生」

読みきった二宮君が先生に声を掛けた。

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