
甘い果汁
第5章 目撃な果汁
目が合って、私は視線をそらす。
いつもだったら、ドキドキってしてるのに…ね?
今日のドキドキは違うドキドキだった。
「いいじゃん、別に…一緒に行くって約束もしてないじゃん?」
「……………」
「…風奈!! 美術室行こ!」
私は席を立ち上がり、風奈のもとに駆け寄った。
「え、う、うん」
風奈は目を丸くしていた。
何回か、悠也に話しかけられたけど、無視した。
トイレから出たとき、
「亜衣」
心臓が高鳴る、後ろを恐る恐る振り向くと悠也がいた。
「……用件言って」
どうせないんでしょう?
「ちょっと来て」
悠也は目の色を変えて、
私の腕をきつくにぎって、空き教室に向かって行った。
