Slow🎵Step 〜不器用な二人のラブストーリー
第16章 Step 16
悪意のある噂は里見の研究室にまで及んだ
麗子が取り巻き連中から仕入れて来た噂だった
「ほら、あのコよ、前に四季にレポートか何か届けに来たことがある」
「一果?」
「あのコ、一果って言うんだ」
「ああ」
「そのコがね、文系のイケメンくん落とすのになりふり構わず必死になってるって」
「……」
「間違い無いわよ、だって私も何度か見たもの… そのコとイケメンくんが一緒にいるところ」
「麗子、この後ちょっと出て来ていいかな」
「え?」
「夕方の交代までには戻るから」
「あ、ちょ、ちょっと、四季っ」
里見は研究室を飛び出すと文系のキャンパスへと走った
「講義中か…」
スマホも何も持たずに飛び出して来たことに気付き、仕方無く側にある日陰のベンチに腰を下ろすとベンチの背もたれに両腕を掛けて足を組んだ
夏休み明けで盛夏は過ぎているものの晴れた日はまだ真夏並みに暑かったが時折吹いて来る涼風が疲れの溜まった身体に心地よい
空を見上げた里見は目を閉じた