Slow🎵Step 〜不器用な二人のラブストーリー
第18章 Step 18
里見さんと会わなくなってからもうすぐ一年
お付き合いしていた頃は同じキャンパスにいても偶然会うことなんて無かったのに不思議なことに合わないと決めた途端、何回かニアミスしていた
里見はいつも麗子と一緒か取巻き連中に囲まれていたのであちらは気付きもしないだろうが
「元気そうで良かった…」
あまり近づき過ぎないよう気を付けながらそれでも気になってしまいこっそりと様子を伺ってしまう
「一果ちゃん、お待たせ」
一果にも気のおけない仲間ができていた
佐藤に勧められて入った読書サークルの仲間達
サークル自体は毎週行われていたが、最低限のルールは月一回は必ず顔を出し、自分の気に入った本を紹介する、というものだった
初めはあまり気乗りしなかったが皆感じの良い子達ばかりで一果も気を遣わず自然に振る舞うことができた
「花純ちゃん」
「今日はどんな本?」
「最近ミステリーにハマってるの」
少し離れたところを通り過ぎて行く一果に気付いた里見が目で追う
「四季、行こう」
「ああ…」
里見達の研究室も追い込みの時期に突入していた