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一条蓮 続編

第3章 愛実ちゃん……?

見覚えのある鞄。
お揃いのご当地キャラクターのストラップ。
赤く……
赤く染まったジャケット。

看「こちらなんですけど……」
一「……彼女の物です」
看「そうですか。では先に病室の方へご案内させていただきます」
夏「……行こう」
一「うん……」

静まりかえった廊下に僕たちの靴音だけが響く。

早く逢いたいのに……
逢いたくないな……

愛実ちゃん。
僕はちゃんと愛実ちゃんを受け止めれる?

心電図の電子音が響く室内。
扉が静かに開く。

一「愛実ちゃん……」

ベッドに横たわる青白い顔の愛実ちゃんに胸が締め付けられる。

さらさらの柔らかい髪の毛は
ぐるぐると巻かれた包帯の隙間から
痛々しい姿を曝け出していた。

担当医「えっと……あなた方は?」
一「婚約者です」
担「そうでしたか。では、怪我の状況について説明させていただきますので、こちらへどうぞ」
一「はい……」
新「あの、すみません。私も同席してよろしいでしょうか?」
担「あなたは?」
新「河合の上司です」
担「こちらの方がよろしければ構いませんが……」
新「一条、いいか?」

僕は力なく頷いた。

新「夏目さんと、桐生と志水、河合を頼む。何かあったらすぐ知らせてくれ」
夏「あぁ、わかってるよ」
桐「了解です」

僕は新堂さんに付き添われるように
病室を後にした。

゚・*:.。..:*・゚.:*・゚

担「右肩の脱臼と、頭部打撲による裂傷がみられました。出血が酷かったのですが、命に関わるような怪我ではありませんので……」
一「……」
担「ただ、頭部の方は意識が戻ってから色々と検査をする必要があると思います」
一「……」
新「そうですか。よろしくお願いします……」
担「しばらくは入院が必要となりますので……手続きの方をよろしいですか?」
新「はい……」

バタバタバタバタバタバタバタバタ

廊下を走る音が聞こえる。

ダンダンダンッ!

志「失礼しまっ……、おい、一条!河合の意識が戻りそうだ」
一「えっ」

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