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一条蓮 続編

第3章 愛実ちゃん……?

僕は志水を押し退けて廊下に飛び出た。
静まりかえった廊下に
僕と、少し遅れて何人かの、靴音が響きわたる。

廊下は嫌い。

ポカポカのひだまりで
暖かくて、大好きなミニカー走らせたり
お絵かきしたり……

でもたまに、
どうしようもなく胸がギュウッてなる事があって、
途端に寂しくなって
不安になって。

この廊下の先に、父さんがいる。
だから僕は走り出すんだ。

この廊下の先に愛実ちゃんがいる。

病室の前に時生ちゃんと桐生さんの姿があった。

一「愛実ちゃんは?」
夏「……」

僕は時生ちゃんが答える前に病室のドアを開けた。

一「愛実ちゃん!」

少し遅れて、病室前に着いた新堂さんが口を開く。

新「夏目さん、河合は?」
夏「……。新堂は入らない方が……」

゚・*:.。..:*・゚.:*・゚

一「愛実ちゃん?」

どこか気だるそうに
僕に視線を向ける。
弱々しく、視線をさまよわせる愛実ちゃんを
僕は抱きしめた。

一「愛実ちゃん!愛実ちゃん!」

答えてくれないけど
確かに聞こえる愛実ちゃんの鼓動。
生きてる。

一「愛実ちゃん……愛実ちゃん……」

僕は愛実ちゃんの存在を僕の全部で確かめたくて名前を呼んだ。

ベッドに横たわる愛実ちゃんは
確かに僕の愛実ちゃんだった。
だけど
それと共に僕を闇が覆い尽す。

無機質にも似た
その瞳は
遠くを映している。
目の前にいる僕は
その瞳に嫌われているかのようだった。

一「愛実ちゃん……?」

ゆっくりと視線が交わる。

愛「…………だれ?」


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