テキストサイズ

彼女の恋愛

第10章 暴走彼女

菫の家に着いたくるみは呼び鈴を鳴らす

「はい?」

「こんにちは、森野です」

「くるみちゃん⁉︎」

ガチャっとインターホンの受話器を置く音が聞こえて、玄関から楓が出てきた

「楓さん、こんにちは!これ…っま、待って下さい!!」

楓はくるみの手を掴んで歩き出した

「どこ行くんですか?」

「デートしよ♡」

少し離れた駐車場に着くと大きいバイクが置いてある前に連れてきた

楓はヘルメットを1つくるみに渡して、もう一つを被りながらチラッとくるみを見る

「…くるみちゃん、荷物多いね。うちに置いて行く?」

「…マミーに借りたタッパーを返しに来たんです」

「えー、俺に会いに来てくれたんじゃないの?…メソメソ」

「いや、あの…会いたかったですよ。。。」

「くるみちゃんったら♡ じゃあ一旦荷物置いて行こうね!ほら、被って」

楓に促されてヘルメットを被ると乗って!と促されてしぶしぶバイクの後ろに跨った

スクールバックをリュックみたいに背負って、マミーのタッパー入りの袋は楓がハンドルにかけた

楓に捕まるのは気がひけて少し腰を掴んだ程度だったが、楓がエンジンをかけると緊張して背中にしがみついた

ブォーンと大きい音がしてバイクは走り出した

目をギュッと閉じて手に力が入っていたくるみだったが、バイクが止まったので片目を開けると菫の家の前だった

「ちょっと待っててね。俺が出てきたらすぐにバイクに乗ってくれる?」

「? わかりました」

バイクを降りて数秒待つと家から楓が出てきた

くるみが再びバイクに跨ると同時に家からマミーと葵が飛び出してきた

「くるみちゃん!待って!」

「楓、ふざけんなよ!」

楓はバイバイと手を振り急に走り出したので、くるみは慌てて楓にしがみついた

赤信号で止まり腕を外そうとするとすぐさまギュッと手を止められ、くるみはドキっとした

ある程度走って止まると、港外れの1件のバーに着いた

楓はメットを外してくるみをバイクから降ろした

「お疲れ♪ くるみちゃんギュッて抱きしめてきて可愛かったな♡」

「…不可抗力です」

くるみもメットを外しながら応えた

「またまたぁ♡そんなこと言わないの!」

楓がくるみの手を取り歩くとスタッフが奥のVIPルームに案内した

「おい、楓が女子高生連れてきたぞ!」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ