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彼女の恋愛

第11章 新しい一歩を踏み出す彼女

「陽?久しぶり」

「くるみ…急にどうした?」

「今日って予定ある?」

「部活があるけど4時には終わる」

「終わってから話したいんだけど大丈夫?」

「あんまりいい話じゃなさそうだね」

「…それじゃ後でね」

くるみは陽との電話を切った

菫に連絡して陽と話すことを告げた

「ちゃんと矢川に自分の気持ちを伝えるんだよ?がんばれ〜」

「菫様、ありがとう!」

「にっしっし〜、じゃあね〜」

むつみと遊んだり、良輔に渡すお菓子を作ったりしていると時間が近づいてきた

「むつみ、お姉ちゃん出かけるから何かあったら電話してね」

「わかった!むつみもリサちゃんと遊んでくる」

「5時までには帰ってね?鍵忘れないで」

「はーい」

くるみは陽との話し合いに着ていく服に悩んだが、白いブラウスにベージュのスカートを選んで、ピンクのカーデを肩掛けした

くるみはスーッと息を吸って大きく深呼吸した

体育館に到着するとまだ練習が続いていて、陽がくるみに気づいてこっちにきた

「ごめん、もうちょっとかかりそう」

「待ってるから大丈夫だよ」

「悪い!終わったらすぐ行くから」

ふと奥の方を見るといつぞやの女の子達がこっちをみてヒソヒソ話している

くるみは終わるまで外で待とうと出口に向かうと、視線を感じて振り向いた

その先には相悟が居てニコっと笑って手を振ってきたので会釈して返す

また視線を感じて反対側を見ると村瀬がストレッチをしながらこっちを見ている

(この空間、居心地悪すぎ!あ〜、菫様助けて!)

くるみは心の中で菫に祈った

村瀬はストレッチをやめてこちらに歩いてきたので、くるみは慌てて体育館を出たが、すぐに追いつかれてしまった

「くるみ!待って」

「待たない!」

「待ってください!」

菫にも言われたが村瀬の存在が大きくなっているのを感じていたくるみは、村瀬に“くるみ”と名前を呼ばれる度にますます大きくなっていく気がして戸惑った

(1歩ずつ進まないと…まずは陽からで村瀬くんと話すのはもっと整理してから…でないとまた失敗しちゃう…)

「くるみ!」

「くるみって呼ばないで!」

振り返って村瀬に怒鳴った

村瀬はひどく傷ついた顔をして、そうですか…と呟いた

「昨日のことを謝りたくて…調子に乗ってすみませんでした」

ズキっと胸が痛んだ

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