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彼女の恋愛

第4章 【仮】彼女

お土産ショップで時間を潰していると集合時間になった
入り口で記念写真を撮って解散した

「まだ18時だけどどうする〜?」

「私はそろそろ夕飯の準備しなくちゃいけないから帰るね!」

「くるみちゃんが作っているの?」

「うん、うち母子家庭なんだけど母さん遅くまで働いているから家事くらいは手伝おうと思って」

「偉いんだね」

相悟は感心した

「じゃあ俺、送るよ」

「大丈夫だよ?みんなと遊んで?」

「彼女を1人で帰せないよ!」

「仮だけどね〜」

うるせーと菫に返しながら陽はくるみの手を繋いで歩き出した

「菫!相悟くん! また明日」

「バイバイ〜!」

「陽に気をつけてね」




駅に着くと少し混んでいた
電車に乗り込むと陽は入り口の横にくるみを立たせてつぶされない様にガードする

「陽、今日はありがとう」

「俺の方こそありがとうだよ」

「私、今日1日すっごく楽しかった!」

「そっか、良かったな」

「陽は楽しくなかった?」

心配そうに陽の顔を見る

「俺はもう少しくるみと二人で居たかった」

聞いて恥ずかしくなるくるみ
反対側のドアから人が乗り込んで押される

くるみを抱きしめるように庇う
髪からシャンプーのいい匂いがしてドキドキする

一方くるみも密着して陽の胸の辺りから香る柔軟剤の匂いにドキドキしていた

駅に着くと手をつなぎながら歩く
しばらく歩くと公園があった

「少しだけ時間ある?」

「うん、少しなら」

二人はベンチに腰をかける
陽が一呼吸置いて話し出した

「今日はさ、早めに待ち合わせしてくれてありがとう」

「ううん、どういたしまして」

「俺、くるみにフラれると思ってたから今こうして一緒に座ってるのもすげー変な感じ!」

くるみは黙って陽の話を聞いた

「まだ仮だけど…今日一緒に過ごしてますますくるみが好きになった」

陽はくるみをまっすぐ見つめた

「くるみが俺を好きになってくれるまでちゃんと待つよ」

「…ありがとう」

くるみも陽を見つめる
しばし無言でお互い見つめ合う

「このままだとチューとか襲っちゃいそうだから行こっか?」

陽はくるみの手を取った
家まで一緒に歩きマンションの下に着いた

「陽、本当に今日はありがとう!また明日」

「おう!じゃあな」

陽の姿がみえなくなるまでくるみは後ろ姿を見送った

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