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彼女の恋愛

第12章 BBQ彼女

インターホンを押すと美羽が出てきた

「くるみ⁉︎ なんでこんなに早く?」

「早朝からお騒せして申し訳ございません。私、岬家の使用人で葛西と申します」

美羽にも名刺を渡して深々とお辞儀をする

「この度は我が坊っちゃまがお嬢様を無理に引き止めてしまい、大変ご迷惑及びご心配をおかけして誠に申し訳ございません」

「そんな…謝らないでください。天災なので仕方ありませんわ」

「葛西さんが自家用ヘリコプターと車を使ってくれて、早めに帰れたの」

くるみが美羽に説明をすると信じられないという顔で葛西に恐縮した

「まぁ! なんとお詫びすればいいか…本当にすみません」

「お詫びなど必要ありません、当然の事をしたまでです。それでは申し訳ございませんが業務がありますのでこれにて失礼致します。何かございましたら、名刺の連絡先にご連絡下さい」

また深々とお辞儀をして葛西は急いでエレベーターを降りていった

嵐が過ぎたようにポカーンとしていたが、リビングに移動した美羽はくるみの袋に目をつけた

「くるみ、その袋はなぁに? 美味しそうな匂いがする」

「マミーがさっき持たせてくれたの。また何かお礼しないと」

「本当、松岡さんには一度キチンとお礼しないといけないわ…くるみ、楽しかった?」

「うん、湖の近くでね! すっごく大きなコテージで…」

くるみの興奮した話を聞きながら、美羽は珈琲を片手に楽しそうに笑った

「まだいろいろ聞きたいけど母さん、仕事に行ってくるわね」

「うん、頑張ってね! あ、お母さん…私、陽と別れたの」

「そう…後悔はないの?」

「うん。ない!」

言い切ったくるみを見て少しビックリした美羽だが、ならいいんじゃない?と出掛ける準備を始めた

まだ登校まで時間のあるくるみだがベッドに横になっても休めずいつもより気合いを入れて髪とメイクをセットした

(村瀬くん気付いてくれるかな? …って、私なにを期待しているんだろう)

心の葛藤とは裏腹にいつの間にか村瀬の写メをみてフフっと笑うくるみだった

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