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彼女の恋愛

第13章 村瀬と彼女

いつもと同じ時間に登校したくるみは下駄箱で靴を替えていると後ろからドンっと押されて前に転びそうになった

(な、なに⁉︎)

後ろを振り返ると4、5人のグループでぶつかった女子がふんと鼻を鳴らして通り過ぎた

その真ん中にいたボブヘアーの女の子には見覚えがあり、申し訳なさそうな顔をしながらこちらを見ていた

(あの子どこかで見たこと……あ!前に陽と一緒に居た子かも)

面倒臭いなと思いながら教室に向かうとまだ菫は来ていないみたいだ

授業の準備をして携帯をいじっていると、おはようと声をかけられて上を向くと相悟がニコっと笑った

「相悟くん、おはよう」

「くるみちゃん、今日いつもと雰囲気違うね」

「わかる?少し余裕あったからいつもより時間かけてみたんだ」

メイクに気付いてもらえて上機嫌で笑うと相悟はニコニコしながら答える

「うん。いつも可愛いけど今日は一段と可愛いね」

途端にくるみの顔は怪訝な表情になった

「どうしたの?」

「いや、うん。なんでもない…」

「くるみちゃん、日曜の事なんだけど」

「ああ、大会の事? 私、村瀬くんに誘われて行くことにした」

今度は相悟が怪訝な表情になる

「そっか…わかった」

「うん?ごめんね」

「なぁ〜んの話〜?」

後ろから菫が割り込んできた

「うん、そっか…。なんでもない」

相悟が自分の席に戻っていく姿をなんだ、ありゃ?と言いながら菫はくるみの前の席に座った

「聞いて〜!!ジーナさんと今週の日曜日に昼間から合コンする事になったの♡ くるみもくる〜?」

「行かない。私、バスケの応援に行くから」

「バスケの応援〜? あぁ、陰険メガネのね。 でも矢川とか気まずくないの〜?」

「俺がなんだって?」

陽が菫に話しかけると菫はうるせー!と返しお決まりのじゃれ合いが始まった

「もー、本当やめなよ? クラスの迷惑だよ」

くるみの声は届かずいつものまとめ役の相悟をみると何か考え事をしているかの様にソッポを向いている

「矢川、松岡! お前らは何でそんなに落ち着きがないんだ? 小学生じゃねーんだぞ?」

小島がショートホームルームをやるから席に着け!と二人をどやし不毛な争いは沈静化した

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