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3月の僕たち

第2章 雑談2

「荷物持ちに付いていきましょうか」


 上出君はご両親が働いていて、小さな頃から料理や家事の手伝いをよくして大概のことは手際よく熟すらしい(母情報)。


―――格好良くて、頭が良くて、スポーツができて、家事男子って・・・出来すぎだ。
せめて身長を分けてほしいよなぁ。


「月陵高の裏手のスーパーに安くて良い物揃ってるんで、俺行ってきますよ?」


自分の学校の近くのスーパーも既にサーチ済みなのか・・・さすがだ。

「この機会に上出先輩に包丁の使い方ならっておきたい」

上出君はウンウン頷いて小声でハルちゃんに耳打ちする。

「お前は覚えなくていい。俺が作ってやるから」

「はい、でも・・・先輩が体調が悪い時とかは看病できるようにしたいし・・・」


一年間このカップルを見てきていえること
―――上出君はいつもクールなのに、ハルちゃんに頼られると活き活きとして、スウィート男になる。
圭一に劣らず赤面モノのセリフを聴く場面もしばしば・・・。
上出君大好きオーラ出しまくりのハルちゃんと、度々見せる上出君の甘さ―――二人きりの時はどんだけぇ~~~?―――て、気がする。

そもそもそんな場面をチラホラ目撃してしまう僕は彼らにとって最早ーー空気?


僕以外に二人のやり取りが聞こえたらしい圭一がテーブル下で上出君の足に蹴りを入れる。


「やっぱダメダメ!じゃんけんで半分に分かれよう」


『さ~いしょは、グー。ジャ~ンケ~ン、ポン!』


 結局、圭一と僕が買い出し組になった。

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