テキストサイズ

3月の僕たち

第4章 雑談4

僕がボンヤリ二人を見ていると、上出君がこちらを見て僕の足元辺りを指さして云った。


「俺と遥暉のチョコそこに置きました」

 足元には大きな紙袋が3つ。


「おお、結構あるなぁ。お前のは?」


 圭一が袋を覗いて僕を振り返る。


「この前も言ったじゃないか、亜里沙にあげちゃったよ。
それに、もともとこんな多くないし・・・・・・」


男としてちょっと悔しい。


「ホントに、本当だろうな?ハルちゃんが――食べきれてない――って云った時、自分もだって云ったじゃんか・・・?」

「あれは吹き出物が出るってことに同意したんだよ。なんなら、いま亜里沙に電話して聞いたっていいよ」

「本当だな?」

「まだいうか?」

「・・・・・・」


圭一とにらみ合っていると、上出君が僕の後ろからヒソヒソ話してかけきた。


「山口って徹底的に泰弘さんの害虫駆除するんだな・・・。泰弘さんは窮屈じゃないですか?」


僕の前にいて聞こえたらしい圭一が冷やかすように、上出君を振り返った。


「ハルちゃんだって似たようなもんだろう?」

「まあ、そう――あっ、いや・・・・・・」


 上出君が軽く相槌を打ちかけて恋人の不穏な気配に口をつぐんで、神妙な面持ちでテーブルについた。


その様子を見ていた慶矩が僕の横に腰掛け呟く。


「すげぇ・・・、丸山の気配だけで上出がフリーズしてる」

「昨年流行した映画のお姫様みたい・・・だねぇ・・・」

「俺、ダイが恋人でよかった・・・・・・」



ストーリーメニュー

TOPTOPへ