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3月の僕たち

第1章 雑談1

「4分の1は圭先輩あてだった」

 慶矩と圭一はバドミントンクラブの先輩後輩で二人はとにかくモテていた。
毎年、慶矩目的の女子高生たちからも必ずチョコを貰っていた。
バディで先輩の圭一に気を使ってのことだろう。
慶矩とほぼ同数のチョコと自分のファンからも貰っていて、慶矩より若干多かった筈だ。


圭一は長身で手足が長く、癖のある髪もお洒落で華のあるハンサムだ。
外見のチャラさから想像もつかない秀才で国立医大へ進学が決まった。


「慶矩が取りに来いっていうから、受験前なのに、わざ・わざ慶矩ン家まで取りに行ったんだよなぁ」

「よく言うよ、受験のプレッシャーから兄貴に会いたくて、口実探してた癖に・・・。あ、兄貴宛ても少しあったよな」


圭一は以外にもデリケートだったりする。

「泰弘宛て?!初耳だぞ!!」

 それから圭一はとても独占欲が強い。
殊に僕のことには細かいし、しつこい。
嫉妬深いというのか・・・つまり僕たちはそういう仲なのだ。


「本当に5,6個だから・・・」


 例年運よく女の子から通学路でチョコを貰えたとしても、速攻で圭一に取り上げられてきた。

でも今年は慶矩が持って帰って来たのでじっくりバレンタインチョコなるものを観察できた。
チョコ自体も板チョコやキューブチョコではなくてカラフルだし、キレイだった。
それにパッケージの色彩もデザインもとても綺麗で、女性たちが自分のために購入するのも頷けた。
 

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