3月の僕たち
第1章 雑談1
ただ食べるならビターチョコが好きだ。
だから鑑賞するだけして中学1年生の妹亜里沙(アリサ)にあげてしまった。
ふいに圭一の不機嫌な顔が目の前に現れた。
「それだけ?」
「亜里沙と母さんが美味しいって食べてた」
「慶矩、報告!」
圭一が慶矩に部活のように声を掛けると、条件反射でバカが要らぬことまで報告する。
「残さずアリィとお袋が食ってた。―――あ、みんなメッセージにメアド付いてたけど・・・」
「なんだとっ?!泰弘、なんで隠したんだ?!」
「あ~~もう、うっとおしいぃ!すぐに捨てたってば」
る
圭一が縋り付いてくる。
そんな僕らを見てクールな上出君が呟く。
「もう卒業なのに、無駄だな。
一般庶民の県立と違って藤蔭生は実家が裕福だから地元を離れて都会への進路を選ぶ可能性の方が高いし・・・」
「上出君、それは偏見だよ」
僕が上出君の言葉を笑うと、圭一が頭の上から続ける。
「チッチッチッ。遠距離だろうとなんだろうとJKは自分を売り込むチャンスに必死なんだな。
あさましいねぇ。俺の泰弘まで毒牙に掛けようなんてふてぶてしい・・・」
そういって僕の頭をグリグリするのやめてくれないかな。
「確かに藤蔭ブランドは伊達じゃないからなぁ。
――それにしてもやっぱ当日が土曜だと少なくなるもんだなぁ」
本命以外のチョコレートを欲しがっている訳ではなく例年より少ないと言いたかっただけなんだろうけど、その不満気な慶矩の口ぶりにハルちゃんの表情がピクリと動いた。
ダイさんという恋人がありながら・・・と内心ムッとしているのが見え隠れしている。
だから鑑賞するだけして中学1年生の妹亜里沙(アリサ)にあげてしまった。
ふいに圭一の不機嫌な顔が目の前に現れた。
「それだけ?」
「亜里沙と母さんが美味しいって食べてた」
「慶矩、報告!」
圭一が慶矩に部活のように声を掛けると、条件反射でバカが要らぬことまで報告する。
「残さずアリィとお袋が食ってた。―――あ、みんなメッセージにメアド付いてたけど・・・」
「なんだとっ?!泰弘、なんで隠したんだ?!」
「あ~~もう、うっとおしいぃ!すぐに捨てたってば」
る
圭一が縋り付いてくる。
そんな僕らを見てクールな上出君が呟く。
「もう卒業なのに、無駄だな。
一般庶民の県立と違って藤蔭生は実家が裕福だから地元を離れて都会への進路を選ぶ可能性の方が高いし・・・」
「上出君、それは偏見だよ」
僕が上出君の言葉を笑うと、圭一が頭の上から続ける。
「チッチッチッ。遠距離だろうとなんだろうとJKは自分を売り込むチャンスに必死なんだな。
あさましいねぇ。俺の泰弘まで毒牙に掛けようなんてふてぶてしい・・・」
そういって僕の頭をグリグリするのやめてくれないかな。
「確かに藤蔭ブランドは伊達じゃないからなぁ。
――それにしてもやっぱ当日が土曜だと少なくなるもんだなぁ」
本命以外のチョコレートを欲しがっている訳ではなく例年より少ないと言いたかっただけなんだろうけど、その不満気な慶矩の口ぶりにハルちゃんの表情がピクリと動いた。
ダイさんという恋人がありながら・・・と内心ムッとしているのが見え隠れしている。