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3月の僕たち

第7章 雑談7

「あれ?」


よく見ると引き戸で仕切ることができるようになっていたようだ。


―――僕を寝かせた後で、圭一が気付いて閉めた?まさか昨夜僕らが彼らの声が聞こえたように・・・?


慌てて圭一を起こす。


「おいっ!クローゼットの中締めたか?」

「はぁ?何言ってんだ。クローゼットなら閉めたぞ」

「違うっ!クローゼットの中の・・・!」


圭一を仕切り戸の前まで引っ張って行く。


「あれ?なにこれ仕切りあったんだ?」

「やっぱり締めたのは圭じゃないんだ」


 この部屋の構造を知っているとしたら、住人のダイかよく泊りに来たことがあるハルちゃんか慶矩。
昨夜の部屋割りからして―――ハルちゃんだ。


「ロックが向こう側の部屋からするような造りになってる・・・あ、昨夜戸を引く建具の音がしてたのはこれか。近所の音かと思ったけど・・・」


圭一が鍵を見て呟いた。


「いつ?寝てた時?」

「いや、真っ最中」

「圭のバカっ!なんで早く気づかないんだよ」


 一気に頬が熱くなり、ジタバタして叫んだ。


「どんな顔して二人に会えばいいんだ?」

「どんな・・・って、お互い様じゃん」

「バカバカ、鈍感」


 僕は圭一を蹴り飛ばしてクローゼットの中に残したまま脱衣場へむかった。


ドアを開けると、丁度ハルちゃんがバスルームの扉を開けて出てきたところに鉢合わせた。

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