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3月の僕たち

第7章 雑談7

「――ッ!!」

「あっ――」


不意のことに驚いたハルちゃんは小さな声をあげた。

綺麗な躰体に転々と赤い刻印。

湯気が追いかけてきてハルちゃんに纏わりついてくるように見えた。


前にもこんなことがあった。
なぜか自然物がハルちゃんを隠してしまうような錯覚。

僕に絵の才能があったら描き残しておきたいと思うような神秘的で怪しい瞬間。


思わず見とれてしまった。


「泰弘さんもシャワー使われますか」

「あ、うん」


急いでバスタオルに身を包みながら、目線を合わせようとしないハルちゃん。

やっぱり・・・?
聞いてみる?
でも・・・


「「あの・・・」」


二人同時に声が重なる。


「・・・何?」

「いえ・・・泰弘さんお先に」


 多分同じ件を確認したいのだと思う。


「あ・・・え・・・とぉ、閉めた?」

「・・・・・・はい」


ハルちゃんはたった一言で分かったようだ。


「・・・僕も不注意でした。」


 ハルちゃんがバスタオルの中で小さくなる。


「いつ気付いた?」

「お二人の部屋から声が聞こえて、僕が奥を閉めに行きました」

「君だけ?」

「あ、はい。覗いてはいません。ただ閉めても聞こえてましたけど・・・」


―――ひぃ~~恥ずかしいぃ~~~

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