3月の僕たち
第1章 雑談1
「ダイさんに言いつけちゃおうかなぁ」
出会った頃は柔和でとにかく観音菩薩のように穏やかに微笑む印象しかなかったハルちゃん。
最近はとても人間味が出てきて親近感がわく。圭一が居なければ本気で好きになりそうだ。
僕は圭一の手から逃れるようにハルちゃんに話かける。
「そんなこと言っていいのかな?ハルちゃん、亜里沙から聞いたよ。
金曜日には、お姉さん・・・由美さんが学校で大量に君宛てのチョコやファンレターを預かって帰ったそうじゃない?」
僕の言葉に上出君が携帯をいじっていた手を止め顔をあげた。
上出君のことを「いつも余裕たっぷりできた恋人だ」と圭一は言うけれど、放任しているわけではなさそうだ。
結構細かいところに反応していると思う。
「・・・・・・」
上出君が無言でハルちゃんを見つめると慌てて言い訳をする。
「お返事ができるようにくれた方には、ちゃんとお断りしましたけど――最近はメールアドレスを書かれて困りますね」
慶矩が驚いたように注告をする。
「そんなの無視しとけよ」
「うん、慶矩の言う通り!女の子はどこまでも付け上がるから!」
慶矩な意見に賛同する圭一に上田君が少し視線を落として過去を振り返って感慨深げに呟く。
「遥暉のファンは大人しい子が多かったな、スタンドプレーする子が居なかった。高嶺の花って分かっているんだろう。人徳だな」
―――へぇ、そんな高嶺の花を君は手折って、独り占めなわけだぁ。
圭一が愚かにも自分を比較対象に引き出した。
「俺は返事しなくても恨まれたことないぞ。人徳だ」
「圭先輩のファンなんて『踏みつけられたい』っていうマゾが多いから、返事なんかしたら反対にドン引きされる――ウゲェッ」
圭一が慶矩の上にダイブし、ヒキガエルのような呻き声を上げもがいている。
ーーーまったく、ガキだな。、
出会った頃は柔和でとにかく観音菩薩のように穏やかに微笑む印象しかなかったハルちゃん。
最近はとても人間味が出てきて親近感がわく。圭一が居なければ本気で好きになりそうだ。
僕は圭一の手から逃れるようにハルちゃんに話かける。
「そんなこと言っていいのかな?ハルちゃん、亜里沙から聞いたよ。
金曜日には、お姉さん・・・由美さんが学校で大量に君宛てのチョコやファンレターを預かって帰ったそうじゃない?」
僕の言葉に上出君が携帯をいじっていた手を止め顔をあげた。
上出君のことを「いつも余裕たっぷりできた恋人だ」と圭一は言うけれど、放任しているわけではなさそうだ。
結構細かいところに反応していると思う。
「・・・・・・」
上出君が無言でハルちゃんを見つめると慌てて言い訳をする。
「お返事ができるようにくれた方には、ちゃんとお断りしましたけど――最近はメールアドレスを書かれて困りますね」
慶矩が驚いたように注告をする。
「そんなの無視しとけよ」
「うん、慶矩の言う通り!女の子はどこまでも付け上がるから!」
慶矩な意見に賛同する圭一に上田君が少し視線を落として過去を振り返って感慨深げに呟く。
「遥暉のファンは大人しい子が多かったな、スタンドプレーする子が居なかった。高嶺の花って分かっているんだろう。人徳だな」
―――へぇ、そんな高嶺の花を君は手折って、独り占めなわけだぁ。
圭一が愚かにも自分を比較対象に引き出した。
「俺は返事しなくても恨まれたことないぞ。人徳だ」
「圭先輩のファンなんて『踏みつけられたい』っていうマゾが多いから、返事なんかしたら反対にドン引きされる――ウゲェッ」
圭一が慶矩の上にダイブし、ヒキガエルのような呻き声を上げもがいている。
ーーーまったく、ガキだな。、