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3月の僕たち

第1章 雑談1

「まあ・・・なんというか・・・いい加減チョコも食い飽きたな」


上出君の言葉に慶矩に馬乗りになっていた圭一が同調する。


「考えるだけで胃液が逆流してきそうだ」

「僕は少し食べると吹き出モノができるから・・・まだ食べきれてないし・・・」

「ハルちゃんも?僕も・・・だよ」

慶矩が「暫くは食べたくない」と呟くと皆も深々と頷いた。


「ところでダイはまだか?」


 圭一が待ちくたびれてこぼすと、ハルちゃんが立ち上がった。

「今日は主役なのに、ご馳走してくれるって張り切っていましたから、フフッ。様子見てきますね」


ハルちゃんがキッチンへ消えてしばらくすると二人で戻って来た。

「お待たせ!」

ダイが笑顔で食材のたくさん置かれた大皿を両手に出てきた。
その後ろからハルちゃんが苦笑いでワゴンを押してあらわれた。


「!!?」


ワゴンの上には燦然とそびえ立つ
――――フォンデュ・タワー。


「―――タワー型・・・初めて観た・・・」

「そう?このスイッチを入れるとね――」

上出君の反応に気をよくしたダイが、フォンデュタワーのスイッチを入れると、
黒い液体が滔々と流れ落ちチョコレートの香りが部屋に充満し始める。


「・・・ぅ・・・げ」


 圭一が口を押えた



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