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第9章 〜溺れる日々〜
「ダメです。
私の腰が壊れちゃいます。」
頬を膨らませ、花音ははっきりとそう返してきた。
「ん、分かった。
じゃあ、しないから……
抱き寄せて眠るだけ。ダメ?」
子どものようにキラキラした瞳で見つめてくる直生。
そんな直生を見て、花音は思わず頬を染めた。
「あの、直生さん。
ただでさえ格好いいんだから、
その眼、やめて下さい。」
「ん……? そんなこと言われても、困るし。
どんな顔したっていいじゃん、別に。
花音こそその上目遣いと頬染めるのやめてよ。
マジでそそるんだけど…。」
「もうっ。どうしてそんなにエロいんですかっ!
私の身体が持ちません。」
涙目でそう声を荒げる彼女を眺め、
直生は頬を綻ばせた。
「エロくて悪いね。
大体、男なんて殆どエロいことしか考えてないよ?」
「もうっ……! 直生さんの意地悪。」
頬を膨らませ、そう言った花音を直生は抱き寄せると、唇を塞いだ。
深く彼女の唇を貪ったのち、直生は囁く。
「花音を好きすぎて、ずっと離したくない。
二十四時間ずっと俺の傍にいてよ。」
それから三日間、直生は本当にひと時も花音を離さなかった。