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第10章 〜浮気騒動?〜

「うん、ごめんね。」


挨拶程度にそう返して直生は笑みを浮かべる。そんな直生に、栞は口を開いた。


「バカねぇ、直生って。そこは嘘でも土下座しなさいよ。

花音ちゃんは優しいから、言わないけど……

相当怒っていたのよ?」


「いいです、栞さん。大丈夫ですから。

何気に幸せにしたいのは私だけって言ってくれましたし…。」


花音は穏やかにそう言って栞に笑みを浮かべている。


「……花音、本当に悪かったと思ってる。

でも、今後絶対に哀しませない。絶対に花音を泣かせない。約束するよ。」


直生はそう言って頭を下げた。


「はい。……じゃあ、一つだけ条件をつけましょうか? 

今後、私を泣かせない。もし、泣かせたら……

直生さんは独りで寝てくださいね。」


満面の笑みでそう言った彼女に直生は思わず顔を上げた。


「独りで…って、俺が独りで寝るの苦手なこと知ってて言ってるの?」


そう…、直生が一人で睡眠をとる事は、まずない。

基本、花音を抱き寄せて眠りにつく。

それでも、それが叶わないときは誰かいる場所で休むか…、テレビをつけっぱなしで眠るか、そのどちらかである。

基本的に静かな場所で眠る事が苦手だった。


「当たり前です。直生さんが苦手なことって少ないもの。

私を幸せにしてくれるんでしょ? 

約束守ってくださいね。」


「うん。有難う。」


直生は素直にそう言うと、花音を抱き寄せた。
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