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第10章 〜浮気騒動?〜
直生と出逢ってから二ヶ月。
最初の頃はただ怪我をさせた罪悪感だけで、別の世界のヒトだと思っていた。
けれど、一緒に居る時間が増えていくごとに直生の仕事に対する真摯な姿勢が見えてきて……
その直生の一生懸命さに花音の心は捉えられてしまった。
「直生が花音ちゃんに本気なのは変わらないわよ。」
気を遣うようにそう言ってきた栞に、花音は視線を上げる。
「私、直生さんってもっと自律できるヒトだと思ってました。
私の買いかぶりだったのかなぁ?」
「直生のイメージ、花音ちゃんの中ではそうなんだ?」
穏やかに栞は花音を見つめ、そう返してきた。
「はい。」
「直生って、要領がいいしソツがないから…そんなイメージなのかなぁ。
でも、直生は嘘はつけない。…だから、問い詰めてやりましょ?」
「…はい。」
栞の言葉に頷きつつも、花音の心は不安だらけだった。
直生の束縛の強さを除けば、直生は好条件だ。
日本有数の自動車会社の現社長であり、世界最高峰F1の昨年のワールドチャンピオンでもあるドライバーである。
ルックスもモデル並みに良い上に、女性の扱いに慣れているためか…デートで退屈する事もない。
そんな直生が、自分の何処がそんなに良かったのか…花音には分からなかった。
ナレーターとしての活動を始めてから約二年。
本番はいつもいっぱいいっぱいで…駄目な自分に花音は自信がない。
「直生さんは、どうして私なんかが良かったんだろ?」
ポツリと呟いた花音に、栞は穏やかに笑みを浮かべた。
最初の頃はただ怪我をさせた罪悪感だけで、別の世界のヒトだと思っていた。
けれど、一緒に居る時間が増えていくごとに直生の仕事に対する真摯な姿勢が見えてきて……
その直生の一生懸命さに花音の心は捉えられてしまった。
「直生が花音ちゃんに本気なのは変わらないわよ。」
気を遣うようにそう言ってきた栞に、花音は視線を上げる。
「私、直生さんってもっと自律できるヒトだと思ってました。
私の買いかぶりだったのかなぁ?」
「直生のイメージ、花音ちゃんの中ではそうなんだ?」
穏やかに栞は花音を見つめ、そう返してきた。
「はい。」
「直生って、要領がいいしソツがないから…そんなイメージなのかなぁ。
でも、直生は嘘はつけない。…だから、問い詰めてやりましょ?」
「…はい。」
栞の言葉に頷きつつも、花音の心は不安だらけだった。
直生の束縛の強さを除けば、直生は好条件だ。
日本有数の自動車会社の現社長であり、世界最高峰F1の昨年のワールドチャンピオンでもあるドライバーである。
ルックスもモデル並みに良い上に、女性の扱いに慣れているためか…デートで退屈する事もない。
そんな直生が、自分の何処がそんなに良かったのか…花音には分からなかった。
ナレーターとしての活動を始めてから約二年。
本番はいつもいっぱいいっぱいで…駄目な自分に花音は自信がない。
「直生さんは、どうして私なんかが良かったんだろ?」
ポツリと呟いた花音に、栞は穏やかに笑みを浮かべた。