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第10章 〜浮気騒動?〜

「それは、若気の至りというかさ。大体、キスくらい挨拶みたいなもんでしょ?」


言い訳がましく直生はそう言うと、栞から突込みが入った。


「あんたは、そうでも……普通の日本人はそんな生活習慣ないわっ!」


「直生さんのその感覚が私には分かりません。

どうして、その亜紀さんに今更別れ話をしに行ったのかも分からないし。」


「亜紀は、遊び相手より以前に大事な友達だからだよ。」


真剣な瞳を花音に向け、そう言うと……直生は一瞬息を吐きだし、告げた。


「誤解させたのは、謝るよ。ごめん……。

でも、俺は花音を裏切ったりしないよ? 

俺は確かに遊んでたからさ、花音を不安にさせるのは当然だと思う。

だけど、俺は本命を裏切ったりした事は一度もないよ。」


「分かりました。

私を不安にさせてまで亜紀さんを切りたくなかったんですよね……?」


「花音、そうじゃなくて。

亜紀は、大事な友達だよ? 

でも、俺がこの手で大切に幸せにしたいと思うのは、花音だけだ。

花音が嫌なら、亜紀と二人で会うのは今後避けるよ。」


嘆息を吐き出しつつ、直生はそう言うと、彼女は眉をひそめて凛とした口調で告げる。


「嫌に決まってるでしょ? 

直生さんが友達だって思ってても亜紀さんはきっと直生さんのこと好きなんでしょ? 

私が彼女だったら絶対に諦めないもの。

一度男女の関係になっちゃったら、友達に戻るなんて不可能です。」


「うん、花音の言う事は分かるよ。

でもごめんね。俺には亜紀を完全には切れない。」


「……分かりました。もう、いいです。

直生さんがそこまで言うのなら、私が反対したところでムダでしょ? 直生さんって、強情なんだから。」


嘆息交じりに花音はそう言った。

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