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~夢の底─

第6章 惜春譜

「俺も独りでゆっくり色んな…話、考えたいな」「そのためのお休みですね」今度はチャンミンが微笑み、「ユノにその時間は必要ですね…。だから僕」ドライヤーを、ミラーの脇の壁に引っ掛け、「ユノが一人で、考えごとの…気が散るんじゃないかなって」白いコードとミッキーマウスは壁にブラ下がって、フラフラしている。「独り暮らし。そういう理由もあるんです」
 「─チャンミン」「はい」「…それより風邪の時、ありがとう。心配も面倒もかけちゃった」「ユノが良くなって、ホッとしました」「チャンミンは身体が丈夫だね…」 枕に片肘をつき、「俺、チャンミンみたいな世話…お前が寝込んだら…、料理も何もしてやれない。困るね─」「忘れたんですか」口元に柔らかな笑み。「僕のそばにユノ、ひと晩中いてくれた…」
 その言葉に、ふっと、うつ向くと顎から頬の、シャープな線が明かりの下、陰った。
 「あの夜の後。ユノ仕事先で倒れて…入院。点滴してた…」「そうだった俺…、でも…。あの夜。眠っちゃったよ。…ね?」




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