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感情に、芽が咲き花が育つ

第1章 出逢い方

「あ。」

カツアゲだ。

ここから20メートルほど離れたところに一人の中高生と思われる男子生徒が、いかにもチャラそうな三人に囲まれている。それだけで男子生徒がカツアゲをされているとは限らないが、一万寄越せみたいなことが聞こえたのでまず間違いない。
そしてそれに気づいていない人と、気づかないふりをしている人が男子生徒の前を通りすぎていく。
前者はともかく、後者の人たちに思わず苛立った。

もちろん、一番腹が立つのはカツアゲをしている三人。



「ねぇ何してんの。ってまぁ聞かなくても、内容が聞こえてたから声を掛けたんだけどね。」

わたしの体と口は勝手に動いていた。口と体が勝手に動くとはこういうことか。
囲まれてる男子生徒は目を大きく開き、チャラ男三人はあからさまに眉間にシワを寄せた。今気づいたけど男子生徒イケメンだ。

「なに、お前。」

チャラ男の一人が文句ありげに言ってくる。
ま、想定内の反応だな。

「ただの通行人です。それよか今時そうやって金集める人少ないよ。」


口では強がってるけど、内心はかなりヤバイ。震えそうになるのを必死に我慢しながら男子生徒の手首を掴み、その場から離れようとする。

だけどそんなこと、相手はもちろんさせてくれない。

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