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「いっ...。」

チャラ男の一人の指がわたしの肩に食い込む。強い握力で肩を掴まれて思わず顔を歪ませ、声を出してしまった。

「いや、俺たち本当にヤバイんだって。一万くれたらすぐどっか行くから。」

「一万なくても財布の中身くれたらいいよ。」


わざとらしく眉を八の字にしながら笑う三人を見て、この人達多分こういうことやり慣れてるんだと察する。
男子生徒はわたしの視界から消えたため、今なにをしているのかが分からない。


「わたし、お金持ってないんで。」

「いやそのリュックのなか、普通に財布入ってるでしょ。」

「確認さしてもらってもいい？てかするよー？」

一人の男の手が、わたしのリュックのチャックに触れる。あ、これヤバイ。

「なに、勘違いしてんですか。わたし財布は持ってますよ。ただ、あんたらみたいな人たちに渡すようなお金は一円も持ってないって言ってんの。」

時間稼ぎをしようとしたのに、とんでもないことを言ってしまったと気付く。


肩に置いてある手が、更に食い込んだ。



「っ」

「もしもし、警察ですか。今すぐ来てください。」

「え？」

カツアゲしてきた三人とわたしの声がきれいに重なった。
さっきまで様子が分からなかった男子生徒は携帯で警察に連絡をしたようだ。
なんでもっと早くしなかったんだろう。